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障がい当事者による当事者のためのコーチング×ビジネススクール×マッチング

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東京都

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今回紹介するのは、渡邊佑代表取締役率いる株式会社EiUの「D-Biz College」です。

「D-Biz College」は、四肢や視覚、聴覚などに障がいをもつ方が集うビジネススクールです。渡邊さんは京セラグループのコンサルティング会社で稲盛和夫氏による「アメーバ経営」を学び、コンサルティングやコーチングの事業を通じて組織や人がゴールへと向かうサポートをされていました。そこからさらに、障がい当事者による当事者のためのビジネススクールを開校し、多くの人がよりよい自分を思い描き輝くためのきっかけを提供しています。担当のコーチや仲間たちと学びながら、自分らしい働き方を叶えていくことができるビジネススクールです。

障がい当事者の方のなかには、身体の機能面にちがいがあることから、学ぶ環境を見つけられずキャリアを諦めてしまう方が多くいます。また障がい者雇用などで仕事に就くことができても、「自分らしいキャリアを築いていこう!」と自信をもって取り組める方は多くはありません。
障がい当事者の方が「自分には無理だ……」と感じてしまうのは、身体機能に障がいがあることで、十分に社会に貢献できていないように感じる経験を重ねてきたからなのではないでしょうか。

しかしながら、障がいを抱えているからといって活躍できないということはありません。最近では、障がいがあるかどうかにかかわらず、リモートワークのある企業で働いたりフリーランスとした活躍したりする方もどんどん増えています。「好き」「得意」と感じるスキルをとことん伸ばし、自分が最も力を発揮できる働き方を実現できるという社会の背景が整いつつあります。

障がい当事者のロールモデルと出会うということ

「D-Biz College」のチーフコーチである小澤綾子さんは、進行性の難病・障がいを抱えているそうです。小澤さんは、病気がわかった20歳のころ、「社会に必要とされていない」「生きている意味がない」とさえ考えていました。ですが現在は、IT企業で働きながら歌や講演の活動をおこなうという、オリジナルのキャリアを歩んでいます。

仕事を楽しむためのポイントは、「オリジナルのキャリアを築く」という点にあります。人生は本来DIY(Do It Yourself)で、自分自身で道を作っていくものです。多くの人が歩んでいくルートはありますが、そうでなければならないわけではありません。
とはいえ、障がいの有無にかかわらず、自分だけの道を切り開いていく働き方は孤独で困難なものです。そんななかで、模範とすべきロールモデルとの出会いは、大きな希望と羅針盤になります。
障がい当事者の方のなかに、目標とするロールモデルに出会うことができている方は少ないのではないでしょうか。「D-Biz College」では、小澤さんのように障がいをもつ当事者コーチが、ゴールを描き達成するまでを二人三脚でサポートしてくれます。障がい当事者のロールモデルと出会うということは、オリジナルのキャリア構築を模索する同じ当事者にとって、これから切り開いていくその足元を照らすことになるでしょう。

スキルアップと仲間づくりで夢がより現実に

「そもそも自分が何がやりたいのかもわからない……」「自分には何もできない……」と感じている方もいます。そのような場合、好きなことややりたいことを理解して学習をスタートする以外に、幅広いスキルアップを通じて自分の道を模索していく方法もあります。
「D-Biz College」では、社会人の基礎からマーケティングや財務などの専門的なスキルまで、さまざまな知識を身につけながら自分が飛び込んでみたい世界を探していくことができるでしょう。そのなかで、研鑽し合うことができる仲間との出会いも、目標を見つけるための大きなきっかけとなります。オリジナルの道を切り開いている当事者が集う場であるからこそ、これまで思ってもみなかったようなアイデアが浮かんでくるかもしれません。

障がい者雇用の後の自己実現

障がい当事者の方がぶつかる壁や日々立ち向かっている不安は、当事者同士の対話でこそ理解しあいほぐすことができるでしょう。当事者コーチやともに学ぶ仲間たちとの出会いは、それからの自身の在り方を見つめ、考えるきっかけを与えてくれます。それによって働くということに充実感を覚えることは、生活や日々の営みをより豊かにしてくれるはずです。

「D-Biz College」は、障がい者雇用に積極的に取り組んでいる企業にとっても注目すべき取り組みです。
障がい者雇用の現場では、当事者がなかなか学ぶ環境を得ることができず、業務を与えてもらえないケースが問題視されています。法定雇用率を達成するための形式的な雇用ではなく、従業員が働くことでより満たされる環境づくりが重要といえるでしょう。
ですが、本格的な学びと障がい特性を考慮した仕事の環境を整えるといった、障がい者雇用の後の成長や自己実現は後回しにされてしまいがちです。社内のリソースも限られているなか、当事者が頼ることができるビジネススクールの活用は非常に有意義な選択肢といえるでしょう。
渡邊さんも学んだアメーバ経営は、会社という大きな組織を小集団にわけ、それぞれが役割と責任を担うものです。障がい者雇用においても、ハンディキャップを抱える当事者が自身の役割を認識して1つひとつこなしていくことで、大きなやりがいを感じることにつながるのではないでしょうか。障がい当事者が学びを続け、自分のスキルを最大限に発揮して働ける環境を企業が提供することは、さらなる価値が集う全員参加型の経営を実現することにほかなりません。