使われなくなったオフィス用品をみんなでつかう
株式会社ティーエムユニオンは、「オフィス機器みんなでつかう」というサイトを立ち上げました。
使用する機会が減ってしまったオフィス機器をサイトに掲載して、「ほしい人に見つけてもらう」「その機器を利用したい会社が使う」。
相互のマッチングにより、不要なものを必要な所へ移動させる循環型社会を実現します。
今回はこのサービスについて、株式会社ティーエムユニオンの高橋隆慎社長にお話を伺いました。
代表取締役 高橋 隆慎
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何をいつからやっていますか?
コロナで使われなくなったオフィス用品の貸したい、借りたいをマッチングするサービス「みんなでつかう」を2023年にリリースしています。
それは、どのような取組みですか?
コロナで定着したテレワークにより、使用しなくなったオフィス機器の「貸したい」「借りたい」をマッチングする取り組みです。
「以前購入した複合機を使用しなくなったので貸したい。」「複合機を使いたいが購入やリースを組むまでではないので借りたい」など、両者の思いをマッチングさせる仕組みとなります。
有名なフリマアプリ「メルカリ」は、誰かにとって価値がなくなったものを他の人に利用してもらうことで、新たな「価値観」を与えて循環型社会を見つける仕組みとの理念を掲げています。
弊社の「みんなで使う」も、メルカリのように循環型社会を実現するサイトを目指しています。
具体的な内容を教えてください
ただのマッチングサービスではなく、専門業者の設置・配線・保守メンテナンスが入るため、安心して利用できるのが特徴です。
例えば、中古の複合機を個人間で利用する場合、保守契約がないので、動作確認やその後の不備の修理ができません。
最悪の場合、廃棄せざるを得なくなってしまいます。
弊社のサービスなら、専門業者が間に入るので、中古の複合機でも長く利用できる可能性が高まるというわけです。
なぜ、このような取組をはじめましたか?
コロナやペーパーレス化により、多くの事業者から相談されることが多くなったのがきっかけです。
「事業として成り立たなくなっている業者がいる」「期間限定で複合機を借りたいけど予算があまりない」「使わなくなったオフィス用品をどうしたらいい?」などの声です。
事業として成り立たないといえば、複合機の世界市場は減少傾向にあるといいます。
国内では、2020年の複合機の主力メーカーであるキヤノンやリコーのプリンター部門の営業損益は、キャノンが9億円の赤字、リコーが80億円の赤字だったとのニュースがありました。
それにより、各社ともテレワーク関連のサービスにシフトしているので、業者を救う意味でもこの取組には意味があると感じているんです。
どんな社会課題の解決になりますか?
世の中で使われなくなったオフィス用品の大量廃棄問題を解決します。
オフィス用品の大量廃棄問題を減らせれば、循環型社会の仕組みが整っていくと考えたんです。
利用者の側としては、「高い購入金額」や「リース契約金」の軽減につながり、浮いたお金を企業の人材不足を解決する費用に使えるんじゃないか、とも考えました。
はじめになにから着手しましたか?
WebやEメール、FAXなどの手段を使って、オフィス機器を貸したい企業を集めることからはじめました。
今はまだ業務で使っていたとしても、必要な時に弊社のサービスを利用してもらえればいいとの気持ちで、登録だけでもしてもらったんです。
それにより、登録者数も徐々に増えていきました。
また、サービス名の「みんなで使う」に興味をもっていただいて、賛同してくれる方も多かったように思います。
取り組みを進めるにあたっての障害はありましたか?
プラットフォーム作りでの障害はなかったんですが、宣伝に非常に苦労しましたね。
立ち上げたばかりで、誰にも認知されていないところから始めましたから。
どのように克服しましたか?
「貸したい側」「借りたい側」「専門業者」の3者へ、地道にアプローチしていくことで克服していきました。
私の知り合いに声をかけたり、地元の銀行担当者様に紹介してもらったりといったアプローチ方法ですね。
特に銀行担当者様とのやりとりでは、「オフィスの縮小」「人員の整理」「売れなくなったコピー機の在庫情報」などの有益な情報を教えてもらえました。
銀行は、地域の事業主さんの課題を知っているため、弊社のサービスの拡がりが見えてきたと実感しています。
今後の展望を教えてください。
プラットフォーム内の登録をさらに拡充して取引数を増やし、さらなる認知度アップを図りたいです。
予算を確保したうえで販売促進を拡充し、足りない機能を追加していきたいとも考えております。
それにより、顧客満足度をあげていく予定です。
最後にお伝えしますと、このサービスは、日本でも賛同しているSDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)に沿った事業です。
「世の中が便利になるように」と作られた商品も、故障や劣化による廃棄、廃棄による環境汚染などの問題が生じています。
このような問題があるなかで、「つくる責任」「つかう責任」をより自覚することは、SDGsの考えにも合致するのではないでしょうか。
つまりは、社会課題の解決(=世界や国、自治体の方針)になるということです。
また、この方針に沿うことで、国や自治体だけでなく、メディアの後押しも得られます。
加えて、会社の従業員や求職者、その家族や取引先にも「良い事業」との印象を持ってもらえると信じております。
今回の取り組みが、「社会課題の解決として事業に取り入れる動機」「取り入れるうえでのヒント」になれば幸いです。
最後にひと言
「廃棄を減らす」ことは、環境に影響を与えるゴミを減らしていく活動です。
とはいえ、誰か1人が我慢して実現できるといった簡単なものでもありません。
社会全体で取り組まなければならない問題です。
余っている人がいる一方で、足りないで困っている人もいるという現実があります。
「不要なものを必要とする人の元へ」といった考えが大切になってくるのです。
そこで、私たちは、全体最適の取り組みが重要だと考えました。
みんなで使えるような仕組みができれば、平等に助け合えるといった仕組みです。
例えば、洋服。
3人兄弟でそれぞれ3つ服を買うのと、おさがりを使い回すのでは、負担が大きく変わりますよね。
必要なものが3分の1で済むうえに、廃棄量も減るわけです。
弊社では、その発想をコロナにより転換期を迎えたオフィスに応用します。
社会の課題を解決するために、サービス名はわかりやすく「みんなで使う」としました。
スタートはオフィス機器だけの課題を解決するサービスですが、将来的には他の業界にも展開して、社会全体を支えていきたいとの理想を持っています。
みんなで使うシェアの心を広めたい。
これが、オフィス機器「みんなで使う」の理念です。